• テキストサイズ

ここは彼の世界です【HUNTER×HUNTER】続編

第140章 国の歴史と駆ける狼







三人にはそれぞれ家庭がありクリンアイスの起源はこの三つの家庭が安全に住まう場所を求めて始まった

極寒の地故に厳しい自然環境、雪崩やブリザード、人が暮らすにはあまりにも寒く沢山の人々が簡単に命を落としていた

そんな中、三人は家族を守り生き抜く為に能力を駆使して町を作ったのだ

最初は三軒の家が立つ小さな空間に妻の友人や親戚、子の友達家族と繋がりは連鎖して増えた人口

様々な業種の人が集まってトンネルが掘られトロッコが町を走る様になり、致死率は著しい低下を見せた

増え続ける人口に彫り師達は町の増設を繰り返し、そうして一生を費やした三人は遂に最後の時を迎えた



三人の内、物を永久に保つ能力を持つ彫り師が倒れたのだ

能力があってこそ作られた平和

三人の内一人でも欠けてしまえば平穏に続いた生活は消えてしまう……

そんな噂が町中に広がり住まう人々は彫り師を惜しみながらもクリンアイスを脱出した


しかし、驚く事に民衆が路頭に迷う事は無かった


四方から集まった人々は民族の隔て無く暮らしていた事で多種多様な生活方法を身に付けてレンガの家を建てたり極寒でも育つ作物を栽培してクリンアイスの周辺にはまた独自の文明が発展したのだ


クリンアイスに残ったのは遂に死を待つ彫り師の一家だけとなる

芸術家であった男は作品に埋もれて死にたいと望み、家族は運命を共にと望んだ

しかし何より愛した家族を巻き込む等、男が望む筈もなく逃げようと伝えるには既に声を発する事も出来なくなっていた


その時男が強く願った事は語らずともわかる


命が尽きた男が発動したのは死後の念だった



死後の念は生きている内に発動するよりも根深く凝固で

居住空間だけを保っていた能力は巨大な氷全てを覆った


その出来事は無事家族の口から悲報と共に村々に知れ渡り、残された二人の彫り師達もまた強い死後の念を残してこの世を去った


そうして暖かな室内や電気にも困らず決して朽ちる事の無い氷の国は完成を遂げて


何百年とそのままの姿を今に見せた


クリンアイスを中心に集まった人々により発展した文明は脈々と受け継がれ………


「……成し遂げた功績や歴史的な価値から最も寒いこの国は世界遺産に登録された。」





/ 1349ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp