ここは彼の世界です【HUNTER×HUNTER】続編
第140章 国の歴史と駆ける狼
自分自身も彼と揃いのホテルのガウンを身に纏い暖房の効いた心地好い空間に立っていながらも
その異様さは恐怖を感じるものだった
そんな事を考えていた数秒
私は声を絞り出した
「……………イルミさん………」
この町の人は何故普通に生活が出来ているのか
そもそも何故電化製品が何の問題も無く動いているのか
考えれば考える程訳がわからずに膨らむ恐怖
異世界故に何があったって不思議では無いけれど未知の出来事に出会った時はいつでもかなりの衝撃で
「……あの、氷溶けへんっておかしくないですか……?」
か細く紡いだ私の声は静寂に響いた
そんな私にじっと視線を向ける彼と見詰め合う一瞬
ゆっくりと開かれた唇から発された言葉は私の予想とは全くの別物だった
「念能力だよ。」
「………え」
「コミック読んでるんだし俺といるんだから念くらい知ってるでしょ。」
「……はい……まぁ………」
勿論知っているも知っているけれど念能力と一口で言われてもピンと来ず
歯切れ悪く返事を返した私に彼はベッドルームへ促しながらも話を続けた
「町の全てが彫り師の作品だと話したけど、町を作った彫り師は全部で三人、そいつらが皆念能力者だったんだ。」
「皆……」
「うん。一人は物をその時のまま永久に保存する能力、一人は光りを蓄電させて放出する能力、そして最後に外気を自在に操る能力で…………」