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ここは彼の世界です【HUNTER×HUNTER】続編

第140章 国の歴史と駆ける狼








ホテルマンの到着により繊細な乙女心を挫かれた私だったが


その後ブルーに輝く氷細工の町並みを反射させるシャンパングラスの登場にテンションはぶち上がり、素晴らしい料理の数々に感動しながら賑やかにディナーを終えた


正確に言えば騒いでいたのは私だけで、彼は優雅に食事していただけだけど私達を包む空気が楽しいものだったと言う事で

私はつくづく簡単な人間だなぁと最早感心してしまう出来事だった………




飽きる事無く素敵で不思議な眼下の風景を眺めながら交代で入浴を済ませる内に時計の針は0時に迫り

民家の灯りも減ったクリンアイスは深い青に染まって賑わいを消し静かな美しさを見せた

同じ町でも昼と夜、そして深夜では雰囲気がガラリと変わりテレビも付けずに夢中で窓に張り付いていたのだが


「そろそろ眠ろう、明日も早いよ。」


彼は単調に言いながら卓上以外に設置されたガス灯を順に消して私をベッドへ促した


まだ名残惜しいけれどまだ明日も見れる景色、そう言い聞かせる


楽しく遊んで思い出を増やしていただけだが体力の無い私は贅沢な疲労感に伸びをしながら


「………はーい!」


ふと振り返った先の不思議な光景にめちゃめちゃ今更ながら大きな疑問符が頭上に浮かんだ


私が目にしたのは彼の姿


薄明かりの中静かに私を待ってくれているその姿は麗しい以外の何者でも無いのだが

身に纏っているガウンの薄さと氷の壁が織り成す光景に違和感が湧いたのだ


寒い寒い何もかもが氷の世界


なのに暖かな室内


ベッドルームやトイレ、シャワールームに至っても床は氷じゃないにせよ壁や天井は氷が剥き出しで………



溶け出さない事があまりにもおかしいと思ったのだ


昼間ショッピングやランチをしていた時だってその違和感は漠然とあったけれど
当たり前の様に人々が氷と密接に暮らす様子に霞んでいた


しかしシャワールームのシャワーからはしっかりとお湯が流れ、可愛い猫足のバスタブに並々と張られたお湯が流れ出しても氷が溶け出さないなんてあり得ない




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