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ここは彼の世界です【HUNTER×HUNTER】続編

第139章 温泉の湖とタイミング







空に反響する悲鳴




彼は雪が降り頻る中、半裸で私を待っていた


水着だけを身に纏った彼は惜し気も無く肉体美を披露しながら肌に雪を積もらせていたのだ



まるで立ったまま固まったかの様にじっと動かない彼の姿に脳裏に浮かぶ笠地蔵


そっと触れた彼の素肌はまるで氷の様に冷たかった



「…………こ、こんなに冷たくなって……………」



バクバクと脈打つ心音は嫌に早く


待っていた時間を体現する様に肩や頭に積もった雪は彼の白い肌と同化していて慌てふためきながら払い退ければ



「流石に寒い。」


彼はされるがままにポツリと漏らした






容赦無い冷風に舞う大粒の雪



……………普通流石に寒いじゃ済まない………………


私を待ってくれていた彼は優しいし

待たせてしまったのは本当に申し訳ないけれど

雪を払い退けもせずに一体どういう心境でいたのかを考えればシュールかつミステリーだ…………



「い、急ぎましょう……っ!!」



握った彼の指先は更に冷たく跳ね上がる心臓


悠々足を踏み出した彼のペースを無視してとにかく引っ張り走る



躊躇している時間分私は彼を寒空の下待たせてしまっていた


そう考えると次に震え始めるのは彼かもしれない………


彼の持ちうる筋力の全てであんなに激しく震えられては成す術無く二人共死んでしまう…………っ



ふざけていると思われるかもしれないが私の思考は全て真剣で


真剣にそんな事を思わせる程彼の身体は冷たく、この国は極寒だった



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