ここは彼の世界です【HUNTER×HUNTER】続編
第138章 クリンアイスとバイブレーション
きっと他の人から見れば痙攣や発作を起こしている、もしくは危ないトチ狂った人物に見えるだろう……
しかし彼ならば私が突然公共の面前で何とも解らぬ奇っ怪な動きを披露するとは思わない筈だ………!
私の周りには人が寄り付かず不自然に場所が開けているが
私は彼を信じて疑わなかった
………………希望を乗せたSOS
彼は少し距離を取った場所からじっと私を凝視していた
正直この時絶望しなかったと言えば嘘になる
彼は私を辺りの人と変わらずに好奇の眼差しで見ていたのだ
しかし絶望している今この時も刻一刻と死は歩み寄る…………
視線だけでは無駄なのだと泣きそうなのを必死に堪えて震える喉から声を絞り出した
「た…………だだずッけで………ざむ………いいい」(助けて!!寒いっ!!)
精一杯に絞り出した声は振動が加わりロボット調に響く
………パワフルに動いて見えるかもしれないがとにかく色々ヤバい
激しく消耗される体力
人々から集中する視線
膨らむ羞恥と彼への苛立ち
真っ黒の瞳がまんじりともせず視線を注ぐ事数十秒
私はこの数十秒を途方も無く長く感じていた………
一歩また一歩と歩み寄る彼の姿
これで助かるのだと希望を抱いた私は自分で褒めてあげたいくらいにピュアで
そんな健気な私に対しての彼の行為は悪魔の諸行だった