• テキストサイズ

ここは彼の世界です【HUNTER×HUNTER】続編

第138章 クリンアイスとバイブレーション






身も心もポカポカと温かくて穏やかな気分になる


クリンアイスに来るのは初めてだと話していた彼もその食べっぷりから口に合った様子で何よりだ……なんて思考とは裏腹に


優雅にコーヒーカップを傾ける彼の姿を写真に収める



「…………」


「…………。」




「ここに着いてからもう170枚くらい写メ撮ってますよ!」


「ふーん。」


「どこも綺麗やからやっぱり増えちゃいますねー」


「ムーシャでも沢山撮ってたね。」


「はい!まだまだ撮ります!」


「後で送って。」



ウッドテーブルに頬杖をついてぼんやりした声を漏らす彼に頷きながらもしつこく写真を撮れば

彼は無言のままチラリと視線を向けた後すっかり慣れた様子でスルーを決め込んだ


しかし私はそれで一向に構わない


只彼を見詰めるだけで胸は熱くなりドキドキと鼓動は早まって


長い睫毛が瞬きに満たず僅かに伏せられて何処か悩ましい彼の姿に幸福の溜息が漏れる



彼が旅行へ連れ出してくれたからこそ見られた景色はどこも素晴らしく刺激を与え

そんな素敵な世界を愛しい彼と見られる事が夢みたいで


宇宙一麗しい彼が嘘みたいに美しい場所に存在している今この瞬間を切り取らずにはいられなかったのだ







「…………きっと私は後世に神が創りし最高傑作、イルミ様のお綺麗な姿を残さなければいけない運命やったんやな……」


「……沙夜子って時々思考がカルト掛かってるよね。正直ついて行けない。」


彼はそんな私に心底面倒くさそうな顔をする

………普段何を考えているのかさっぱりわからないくせに不愉快な事柄に関しては露骨な表情を隠さない

彼がそんな対応をするならば私だってたまにはウザさを全開にしてやろうではないか…………なんて謎に意気込んだ私だが




「………そうですね、イルミさんは信仰されてる教祖ご本人ですからわからないですよね……私はイルミ教の信者「その話聞かなきゃダメ?」



うんざりと溜息を付きながら眼力だけで黙れと言う彼を前に私のささやかな攻撃は静かに終幕したのだった………



「…………イルミさん……その目やめてください………」


「え?何が?」





/ 1349ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp