ここは彼の世界です【HUNTER×HUNTER】続編
第137章 食べ歩く二人
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私達は客船のテラスから何処までも続く砂丘を見送った
ムーシャの街での楽しい出来事が全て思い出となって橙色に染まる
部屋とテラスを隔てる窓を開け放し名残惜しい砂漠の風を閉じ込めようにも動き出した船には潮風が流れた
テラスのデッキチェアに二人腰掛けて心地好い無言の中チラリと盗み見た彼は淡白な横顔を覗かせながら
「最終、食べ歩きだったね。」
なんてムーシャでの全ての出来事を振り返る様に言うものだが少し切なく、そして嬉しくもあった
「そうですね!満腹です!」
「じゃあ夕飯はパスする?」
「それとこれとは話が別です」
「………沙夜子って食べ物さえあればわりと楽しそうだよね。食い意地がほら……。」
「確かに」
「………ま、たまには食べ歩きも良いかもね。」
穏やかに流れる今この時すらも全てが思い出になってしまうけれど
彼の胸にもお揃いが残るのならそれは決して悲しい事では無いのだと思えた