ここは彼の世界です【HUNTER×HUNTER】続編
第137章 食べ歩く二人
「見てください!凄い!」
「あぁ、これなら後で食べられるみたいだよ。」
「え!めっちゃ嬉しい!!」
私が気になったのはジュースの実というフルーツで
まるで水風船の様な見た目で同じ果樹にも色とりどりの実を付けているものだった
薄く伸縮性のある皮の中に水分を溜め込む木の実らしく厳しい環境下で生き抜く植物の神秘を目の当たりにする
説明文には同じ果樹になった実でもその実ひとつひとつで味が異なると書いており光を透かすその中はその名の通り天然100%のジュースらしい
まさか好奇心煽るこのフルーツを実際に食べられるだなんて……!!
黄色にピンク、水色に黄緑までファンシーなフルーツジュースが一体どんな味なのか今からワクワクが止まらない
軽い足取りで隅々迄見学を終えた私達
広大な敷地を回るには予想より時間が掛かったが楽しい時間に疲れは無く
イートインスペースでテーブルに付いて漸く足の疲労を感じた
そう言えば汗をダラダラ流しながら砂丘を越えたのだから結構疲れていたのだった
そんな私とは相反して疲労とは程遠い無表情を浮かべる彼はメニューを広げると私に見える様に傾けた
「このオススメで良い?」
彼が指差していたのは選りすぐりの旬のフルーツを10種少しずつ摘まめる贅沢なセットメニューで
そこにはしっかりとジュースの実の品名も載っていた
「是非それにしましょう!!」
私が笑顔で頷けばサラリと注文を済ませた彼はふぅと息を吐くと辺りを見渡した
カラフルな世界を映す大きな瞳
何者も近付けない冷たさと潔癖さが合わさり隠し切れない上品さと混ざって
それ等はまるで何にも染まらぬ黒色とも透明感があるとも感じられる彼が醸し出す特有の雰囲気と成る
ベール越しに照らす陽にサラリと輝く黒髪から覗く横顔
彼は只景色を眺めている
それだけなのにそんな何気無い瞬間すらも彼を中心に色付いて行く
私が一体どんな顔で彼に見惚れていたのかはわからないけれど
気が付けば頬杖を付き真っ直ぐに視線を向ける双眼と見詰め合っていて
「変な顔。」
なんてクスリと笑った彼の姿に私は激しい動悸に見舞われた
彼が笑ってくれるなら………………私は全然変な顔で良い……………っ