ここは彼の世界です【HUNTER×HUNTER】続編
第137章 食べ歩く二人
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大きな荷物を先にラクダ運送に預け、身軽に成った私達は昨日の続きで露店商を散策していた
とは言え何かを購入すると言うよりは町の雰囲気だけを楽しんでいる
贅沢な朝食を満足に食べた私達はお昼には露店商の屋台にて軽く何かを食べようと話していたのだ
つまり今歩いているのは雑貨類の並んだ通りでは無く犇めく様に食べ物が並んだ食べ歩き通りだった
観光客ばかりの通りとは違い民族衣装を身に付けた地元の人達も行き交う通りはまた雰囲気が違いディープな活気で満ちている
見た目にも物珍しく様々な香りが充満した道を彼と行く
「あれ何でしょう……キラキラしてる!デザートかな?私デザートも食べたいです」
「あれはムーシャカナブン、昆虫だよ。」
「………え"っ……それは……私いいや……」
他愛無い会話を弾ませながら歩いているだけで刺激的でワクワクと弾む胸
屋台で食事するという事は決まっていても何を食べるのか全く決まっていないので吟味するだけでも楽しい
異世界の異国ともなれば私には当然珍しい物ばかりが並び目移り必須なのだが
くりくりの瞳で忙しなく視線を走らせる彼もまた物珍しさに普段より少しあどけない表情を浮かべていて
無機質な雰囲気に変わりは無く、その口調はやはり淡々としたものながら私と同じ様に彼も楽しんでいる事が伝わってくる
「……そう言えばこの後果樹園に行くしデザートはそっちで食べれば?」
「確かに!そうですね!……えー何食べたら良いんでしょ……迷います……」
「誰かがラクダのミルクが有名だって言ってなかったっけ。」
「………石鹸?」
「………あぁ石鹸か。」
声色は淡白ながら可愛らしい台詞にクスクスと笑ってしまう
無表情の裏でぼんやり聞き齧った言葉を思い出しながら食べ物を探していたなんて可愛い……
そしてそれが石鹸の事だったと思い出して然り気無く顔を背けた彼が滅茶苦茶可愛い…………っ
長身で筋肉質、屈強な身体を持ち、歪さを隠し持つ冷酷な暗殺者
そんな彼は視線だけで人を殺めてしまいそうな鋭く真っ暗な瞳を持ちながら
実は可愛らしい一面を併せ持っているなんて……最早最強でしかない。
その黒い瞳でラクダのミルクを探していたなんて……………………………ッ