ここは彼の世界です【HUNTER×HUNTER】続編
第137章 食べ歩く二人
「いつもツーショットの時は顔が真っ赤だったり表情が強張った感じだもん。………違う?」
………だもん、なんて正直めちゃくちゃ可愛いが
鋭く図星を付いた彼はくりっと首を傾げながら正解を待っていて
………何故その一点についてそんなに興味津々なのか全くわからない……
何が彼の好奇心を駆り立てたのか本当にわからないが悪あがきしたってどうにもならないだろう……
………少々気恥ずかしいが
「……そうですね……隣にイルミさんがいてたら緊張しますから……」
素直に答えた私に彼は漸く納得した様に「ふーん。」と短い呟きを残すとさっさとカウンターへと向かってしまった
「……………え、何………」
私には本当に彼がわからない
多分解答を得て満足し、内容にまでは興味が無かったのだろうけど
私の彼に対する普段からの言動から大体の事は察する事が出来るじゃないかと思う
彼はそのくらい十分に私が彼自身に寄せる想いや羞恥を理解している筈で
『俺の顔好きだよね』とか『そろそろ慣れなよ』等の理解していると思わせる台詞や余裕たっぷりのイタズラで私を散々からかって来たではないか…………
なんてぼんやり見詰める先、カウンターにて請求書の様な物に目を通した後
昨日の賞金がそのまま入ったアタッシュケースをさらっと差し出す彼の背中に変な笑い声が漏れた
1000万ジェニーの賞金は彼が遊びのつもりで船にて粉々にした食器代に飛ぶらしい
そんなクレイジーな光景はやはり私の常識とは駆け離れてぶっ飛んでいて
「お待たせ。」
「あ、はい!」
なんて笑顔で頷きながら
(……………あの食器そんなに高かったの……………?…………………………………………………怖……………………)
何の気兼ね無く使用していた食器の価値にうち震え
沢山の男達が切磋琢磨し、汗水流した優勝賞金が呆気なく弁償代に消えた事に戦慄し
そして、私はこれからもまだまだミステリアスかつクレイジーな彼に驚かされ続けるのだろうと染々思った……。