ここは彼の世界です【HUNTER×HUNTER】続編
第137章 食べ歩く二人
「……沙夜子って写真になると緊張してるよね。」
スマホを眺めていた私の手元を覗き見ながらポツリと言った彼
「別に緊張してない写真だっていっぱい……」
なんて言いながら私が単体で写る彼が撮影してくれた写真を見せれば
「………まぁ。」
なんて何を考えているのかわからない調子で呟きながら先を歩き出してしまった
「行くよ。」
「はい!!」
彼が何を考えているのかなんていつもわからないので別に気に止める事も無く
彼との会話は突然始まり突然終わったりする事が多々あるし
終わったかと思えば随分間を開けて再開される事もある
彼は彼特有の間隔でマイペースに話す人だし興味がなければとことん無関心だ
無関心だからと言って決して聞いていない事は無い辺り優しいと感じるけれど
最初は間を掴めずに話を再開させる彼に戸惑った事を懐かしく思う
今はすっかりそんな彼のペースを把握しているし
きっと他愛無いコミュニケーションに慣れない彼はその無表情の下で沢山の事を考えて組み立てながら話しているのだろうと思う
なんて彼の事を考えつつも、ガラガラとキャリーバッグを引きながらロビー迄やって来た時
「わかった。沙夜子はツーショットになると緊張してるの間違いだ。」
彼は唐突に会話を再開させた
「…………そ、そうですかね……?」
………前言撤回
まだまだ私には全然彼のペースを把握出来ていなかった。