ここは彼の世界です【HUNTER×HUNTER】続編
第136章 天空の戦い
それだけあの男の人は手練れである事、そしてそれでも尚、彼は全力では無い事がわかった
リングに落ちた赤い血は彼の頬に付いた擦り傷の他圧倒的に相手の外傷から出血したもので
徐々に押して行く彼の姿に会場はざわめきを見せる中
「大将が倒れたらどーなんだ?!」
「賞金が手に入らねぇなら還元もくそもねぇだろ……」
なんてチラリと聞こえた会話に無意識の内に耳を傾ける
「ゴラルダ様のお陰で俺らの町は回ってるみたいなもんじゃねぇか……全部終わっちまう……!」
「…………馬鹿言うな!あの人が負ける筈ねぇだろ!」
会話を広げる人に目を向ければ地元に住む町民らしき人達は必死に手を握り締めながらあの男の人が立ち上がるのを待っていた
……………賞金……………還元………町が回っている……………
言葉の点と点の間にゴラルダさんの台詞が蘇る
『前借りだぁ?!ふざけた事をほざく前に黙って働けッ!!働く奴は食えるが働かねぇ奴は食えねぇって言うのが世の常だろ……?』
……………私はゴラルダさんを誤解していた
粗暴な態度や言動から悪者だと決め付けていたけれど決して根っからの悪い人等では無い……
ゴラルダさんはゴラルダさんなりの正義を持っている人なのだ
前借りを持ち掛けた男性に強く当たっていたけれど堅実な人にはそうでは無いんじゃないだろうか…………
それが証拠にゴラルダさんを見詰める町の人々の視線はヒーローを見ている眼差しを思わせた