ここは彼の世界です【HUNTER×HUNTER】続編
第136章 天空の戦い
チラリと盗み見た先
頭を床に擦り付けながら涙声で悲願する男の人の横腹を容赦無く蹴り上げる光景に思わず肩がビクリと震えた
「前借りだぁ?!ふざけた事をほざく前に黙って働けッ!!働く奴は食えるが働かねぇ奴は食えねぇって言うのが世の常だろ……?それが出来ねぇなら野垂れ死ねッ!!」
随分と乱暴な怒鳴り声と人を殴る生々しい音に強張る身体
私はこんな場所にいながらも暴力とは無縁に生きてきた
故に強い衝撃に思わず「……うわぁ」と漏れた声
逃げる様にバタ付いた足音に殴られていた男の人は隣のスペースから出て行ったらしいとわかった
「………あなた、もう一度くらい貸してあげられないかしら……私達は十分余裕があるじゃない、あの人にも家族が……「お前は黙ってろ!身体を張って得た対価を自分達で使って何が悪い……所詮この世は弱肉強食だ強くなきゃ生き残れねぇんだよ!」
……………………やはりあの人は悪者だ………………
弱者を切り捨てる人なのだ…………
しかしながら馬鹿正直に首を突っ込む気も無く黙々とパンを食べた
チラリと伺った彼の横顔は平然としていて
きっと同じ会話が聞こえていただろうに無関心な態度のまま
「このパンパサパサしてない?喉が乾く。」
なんて少し不満気にパンを口に運んでいた