ここは彼の世界です【HUNTER×HUNTER】続編
第136章 天空の戦い
___________"
12:30
「お疲れ。」
「お疲れ様です!!!」
少し若い頃の姿をした彼は普段と変わらぬ淡白な声を響かせた
途端に走って抱き着いた私の目はきっとわかりやすく輝いているだろう
第二回戦三回戦と圧倒的な力の差で微動だにせぬまま勝ち進んだ彼
私はそんな彼の力強さに心底キュンキュンしていた
私の大好きな彼は優しく静かで上品ながらその実とても頼りになる人……
そんな彼に巻き起こる黄色い声援を聞きながらも私の旦那さんなんだ!と幸福に舞い上がる
ぐんぐん上がったオッズは今現在二番人気迄上り詰めていて
あんなに不安だったのにただ興奮出来ているのは彼が何の危な気も無く連勝しているからだ
「次まで少し時間が空くから」なんて言いながら売店で販売されていたパンを差し出した彼は疲れ等微塵も感じさせず席に腰掛けた
「イルミさんほんま凄いです!カッコいい!」
「余裕だよ、寧ろあんなので褒められてもね。」
なんて淡々と言いながらワイルドにパンを頬張る横顔にキュンが止まらない……っ
彼の威風堂々とした態度や口調は変わらないのにその姿は少しあどけなく
私の見た事のなかった一面を覗かせながら私の知らない頃の素顔を見せる彼に私はその場に転がり回りそうな程興奮していた
「か、可愛い………!!イルミさんは短髪も素敵なんですね!!おいくつくらいですか?!」
言いながらすかさずスマホカメラを向ける私にうんざりとした視線を流す横顔
しかしそんな顔をされたって全く怖くない
寧ろ普段より幼く見える分キュートにすら思う
「18だけど………いいよそういうの……。」
「ふわぁ………若いですねぇ……可愛いっ!!」
「………早く食べなよ、質素だけど一応昼食なんだから。」
「食べますいただきます!可愛いイルミさん……!いや……イルミ君……?きゃーーーーーーっ!!」
「………………。」
なんてテンション高くパンを貪っていると隣から響いた怒号
「とっとと消えろッ!!」
「お、お願いします!このままでは妻も子も食べて行けません!!もう一度チャンスを……給料の前借りを………!」