ここは彼の世界です【HUNTER×HUNTER】続編
第136章 天空の戦い
恐々している内にシートベルトを装着され安全確認をするお兄さん
私達を背中に乗せたドラゴンが呼吸をする度にゆっくりと上下する座席は生命体の上にいるのだと強く感じさせ
チラリと地面を盗み見れば人の背丈を悠に超した高さにゾクリと背筋が震える
座席の直ぐ傍に見える肌は赤が美しく分厚い鱗に覆われていてここに来て私は漸くドラゴンという存在に感動していた
……………………私は今滅茶苦茶貴重な体験をしているのでは無いだろうか………………?
私の世界でドラゴンに乗ったなんて言えば確実に頭がアレだと思われるけれど
異世界故に現実にあり得る話で
事実私は今確実にドラゴンに乗っているのだ………!!!
先程迄の怯えが嘘の様に沸々と沸いた感動が怒涛の様に込み上げる
「わ、私ドラゴンに乗ってる………!!!」
「………そうだね。」
「凄い………凄いですよこれは……!ドラゴンライダーや!!」
「何それ。」
「………○ックとドラゴンみたい!!!やばい、どうしよ……誰かに写真撮ってもらいたいっ!!」
「………………。」
こんな貴重体験をしておきながら彼のクールが変わらないのは流石だが私はとにかく興奮している
人生とは本当にわからないものだ……
生きている中で誰がドラゴンの背に乗るだなんて想像出来るだろう
そもそもドラゴンが存在するだなんて…………
きっとこんな機会は異世界にいても早々無い
ならば今の内にドラゴンにタッチしてみよう………と膨れた好奇心から鮮やかな鱗へおずおずと手を伸ばしたその時
耳につんざく笛の音
バサリと広がった大きな翼が送った風に衣装のベールが靡きふわりと浮遊感が身体を襲う