ここは彼の世界です【HUNTER×HUNTER】続編
第135章 激しい愛と混乱の渦
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その後
係員の方々はすっかり青ざめ人間を見る目ではなかったが恐る恐る伝えられた弁償の言葉を彼は軽くあしらい
私達は一身に辺り中の視線を浴びながら足早にその場を去った
…………………正直ぐったりだ…………
………しかし、今日も今日とて観光がある
気を持ち直して全力で楽しむつもりだが
流れのままにアラビア衣装をそのまま街へ出た途端に彼は突然今日の予定を明日にズラすと言い出した
「そもそも明日はノープランだし問題は無いから。」
なんて言いながら今まで歩いていた道とは反対方向に歩き出す彼に手を引かれる
昨日回れなかった露店商にて雑貨を物色していた筈が一体…………
彼は本来きっちりとした人で立てた計画に忠実な人物だ
そんな彼を突き動かす何かがあるのだろうか………?
ゾルディックに関わる何者かをこの街中で発見したのか………
チラリと見上げた彼の横顔は普段と違わず無機質な瞳を浮かべていて思考を読み解く事は出来なくて
僅かに胸が陰る
しかし突然の計画変更は深読みをする他無いくらいに不自然で
彼の今の行為は異例以外の何物でも無かった
じわりじわりと広がる不安にぎゅっと握り締めた手
この世界にいる限り私達は逃げ隠れ続けなければならない
私は彼にそれでも着いて行きたい………
緩やかに立ち止まった気配に同じ様に立ち止まる
何が彼を動かしたのか……
「少し待っていて。」
なんて言葉に頷きながらまんじりともせず立ち尽くし
嫌に騒ぐ胸を必死に抑えていると単調な声が耳に入って顔を上げる
「エントリーしてきた、行こう。」
………………………………………………………?
「エントリー…………?」
一体何の事だかさっぱり解らずに間抜けに漏れた声
私の手を引いて肩越しに振り返った彼はふっと笑うと
「ムーシャ天空闘技場。」
またもや訳のわからない事を口にして私は瞬く間に混乱の渦に飲まれたのだった
「………………天空闘技場?!?!」
「ドラゴンに乗って行くらしい。」
「天空闘技場って………!……えっ?!今ドラゴンって言いました?!?!」
「ドラゴン。」
「…………ドラゴン…………?」