第11章 雨宿り【松田・萩原贔屓/警察学校時代】
最近目立つゲリラ豪雨にあたってしまったのは最悪だった。
帰り道の屋根もない道。
バス停まで駆け足で向かえばしばらく雨宿り。
バスには乗らないから、少しだけ心苦しい。
遠くから走ってくる二人組の男の人の姿が見えた。
「あー、最悪っ…って…お前も、雨宿りか?」
「おーっ、ずぶ濡れだな」
「二人もでしょ」
松田さんと萩原さん。
「最悪、煙草濡れた」
「うわ、まじだ」
自分たちの濡れた服装よりも先に、煙草を気にする姿に笑う。
そんな私を二人が苦虫を嚙み潰したように見た後、目を合わせて何か企んでるようにニヤニヤ笑って。
「ところで」
「良い眺め」
胸元を指さされて…持っていた鞄で二人に向けて勢いよく二人の顔めがけて振り回した。
「ちょっ、乱暴!」
「暴力反対!」
「セクハラ反対!」
…言われてしまうと、やけに気になってしまうのも仕方ないのだけど。この人たちはあくまで、私(と零)をからかいたいだけだということは痛いほど分かっている。
「降谷に写真送るか?」
「送らない」
濡れて透けてるとこ、と携帯のカメラを向けてくる萩原さんとニヤニヤと眺める松田さん。
本当にロクなことしないなと思う。
あとで零が怒ることだって、この人たちにとっては楽しみの一つなんだろうなと考えると、仲良しだなと思って笑ってしまう。
「最近降谷とどう?」
「どうって聞き方がおじさんみたいです」
「言われてやんの」
「松田さんは煙草を吸おうとしないで、臭い」
ひっでぇと笑う二人。
「さて、と。そろそろ電話でもしようかな」
「あ、まさか」
「それ早く使えよ」
「使おうと思ったら二人が来たんだよ」
携帯から呼び出すのは、最愛の人。
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