第10章 二度目の初夜/警察学校組【降谷贔屓オール夢】
さっきまで散々いちゃついてた癖にここで雰囲気作るな、と言う松田さんと萩原さんに責め立てられる零に笑ってしまって。
お酒も飲んで、楽しくて。
お肉も美味しい。
ヒロくんと伊達さんに挟まれてるここは、保護者に守られてるようでとても居心地が良くて。
「もう私、伊達さんとヒロくんのお家の子になりたい」
「「いや、それおかしいから」」
伊達さんとヒロくんの声が被って私が笑う。
大好きな空間。
「それに、本当に〇〇が俺の家族だったら降谷に簡単に渡さないけど」
「そうだな、手が早い上にすぐ不安にさせるからな」
「それは〇〇が決めることだろ」
さっきのヒロくんの言葉のお返しのように、零が言って。
「…でもヒロくんや伊達さんがダメって言ったら確かに考えるかも」
「おい」
「冗談だよ」
少しだけ、零をからかう余裕ができたのは…
零にたくさん愛されてる自信をもらえたから。
「〇〇、元気そうで良かった」
「…ヒロくんも、色々ごめんね」
じゃれ合う三人に、うるさいから落ち着けと笑いながら嗜める伊達さんを見ながらヒロくんと話す。
「…殴られたのは納得してないけど、全部奢りでチャラにする」
「あれ?でも、あの時貸し二つって」
「だから、その一つはこれでチャラ」
ヒロくんが手を重ねて、繋ぐ。
「ゼロには内緒な」
悪戯に笑うヒロくんに、つられて笑う。
「ありがと、ヒロくん」
こっそり繋ぐ手を握り返して、落ち着いた三人が腰をかけると肉を焼いて勢いよく食べる。
…男の人だなぁと思いながら零を眺めていれば、松田さんと萩原さんからあーん、と肉を向けられて渋々食べれば、なぜ食べたと零に怒られた。
くだらないやりとり。
くだらない日常。
忙しい毎日の、このくだらない時間が…私は大好きで。
その日のお会計は、私の人生でこれから先見ることがないであろう価格になってました。
【fin】