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【DC】別れても好きな人【番外短編集】

第9章 アンケ夢/安室透【痴話喧嘩】


ずらした休憩時間。
ポアロの静かな時間を狙って休憩に入って、お店に顔を出した。
私が顔を出すと、梓さんが休憩に入りますねと私に言うから…照れながら行ってらっしゃい、と見送った。
大好きなハムサンド。
透さんの特製の味。

「そういえば先日、梓さんが掲示板の書き込みを心配していましたよ」

スーパーで買い物してる時に言われました、と言われて。
…そんな呑気な話かな、と零に告白をしては振られていった女の子に妬まれたあの頃を思い出す。

「それ透さんのせいでしょ」
「僕のせいですか」
「顔よし笑顔よし性格よし気遣いできて最高の人じゃないですか、透さんは」
「含みますね」
「…透さんのお客さん、女子高生も多いんだよね」

見ていたらわかる。

「ポアロの、ですよ」
「透さん目当てのお客さん、女子高生が多いんですよね?」
「…棘がありますね」
「前からそうでしたけど、…透さんは、女性の妬みとか僻みとか、そういうの…もう少しちゃんと気にしてほしいです」
「前からそうでしたけど、〇〇は男の好意に疎いですよね?」

売り言葉に買い言葉。
突然透さんが笑顔で不機嫌に返してくるけど、透さんというより零が。
自分がモテてる自覚あるのだろうか。
…あるだろうけど。

「…もういい、帰る」
「どうぞお気を付けて」
「…っ、そういうとこ、ほんとやだ…!あと掲示板は勝手に調べるから透さんは何もしなくていいです!お仕事中お邪魔しました!!」

どうしたんですか、と遅い休憩から帰ってきた梓さんと鉢合わせして。

「いえ、なんでもないです」
「え、でも泣いて」
「泣いてないです」

泣いてない。
…透さんに、泣かされてたまるか。
探偵事務所帰りポアロに立ち寄るのは、少し日課になっていたのに。
ぼんやり思いながら嫌になる。
若かった頃から、そこは変わってない。
…昔は確かにヒロくんや他の人だっていたから…俺じゃない、と言ってもなんとか納得してあげたけど。…いや、しなかったかも。
気分は最低だけど、スーツを着た。
今夜は零に会わないでいたい。
そう思いながら、それが叶えば暗に避けられているのではないかとすら思う。




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