第3章 恋の思い出/景光【思い付き突発番外編】
笑顔で無理をして
笑顔で誰にも心配かけないように
試合会場の人目のつかないところで
足を冷やして悔し涙を浮かべている彼女をみて
「支えてやりたい」
そう、思ったんだ。
「大丈夫?」
テーピングをマネージャーから貰って、戻って駆け付けた。
「…あっ、大丈夫です」
警戒を隠さない彼女の足に触れて。
「痛っ…」
「大丈夫、ってこういうことは言わないよ」
他学校の男子生徒に突然足を触られたら驚くのも無理はないよな、と思いながらテーピングを巻いて。
「…ありがと」
「どういたしまして」
〇〇学校なんだね、と彼女の試合時間が近づいていることを察して。
「次、頑張れるおまじない」
チョコレートを手に握らせれば、「なにそれ」とクスクス笑って。
「ありがとう、絶対勝ってきますね」
名前を聞きそびれた、それが最初の出会いだった。
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