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【DC】別れても好きな人【番外短編集】

第19章 ハッピーハロウィン!【安室寄り降谷夢】


「梓さん、カウンター移動していい?」
「いいですよ!」
「ありがとう」

梓さんの言葉に甘えるついでに机の上を片付けて透さんに渡す。

「ありがとうございます」
「どういたしまして」

店内のお客さんが引いて、静かになった店内。

「梓さん、夜が混む前に一度休憩に入られてください」
「はーい!お二人でごゆっくり」
「梓さん!!」

そういうつもりじゃないはずの透さんの言葉を、梓さんがからかうように私たちに向ける。
休憩に入った梓さんがいなくなれば、透さんの洗い物をする音だけが響く。

「…透さん、今日何時に終わる?」
「遅くなるので、先に帰っていてください」

帰ったらゆっくりお話しましょうね、と向けられる笑顔は好きだけど…私は早く、零との時間が欲しい。

「ハロウィン嫌い…」
「ふふっ、子供みたいですね」

ちゃんと終わったら構ってあげますからと言われて頷くけど…子ども扱いには納得いかない。

「梓さん戻ったら、私帰るね」
「はい、…あ、じゃあその前に」

カウンターから身を乗り出して、透さんの手が頬に触れて、キスされた。

「Trick or Treat…僕にも甘いお菓子をください」

触れるだけだったのに、甘すぎるその言葉に思わず口を押さえた。

「お菓子は、配り終わりました…!」
「ああ、知ってる」

ぺろっ、と自分の唇を舐めながら私を見るその表情は…零。

「だから、お前を食べる」
「なっ…」
「覚悟しとけ」

カランカラン、と来店を知らせる音が鳴れば一瞬で変わるその表情。

「いらっしゃいませ!」

心臓が鳴りやまない。
顔中に集まる熱を誤魔化したくて。

「っ、透さん、ご馳走様でした!!」

少しだけ多めにお金を置いて、その場を逃げるようにポアロをでた。
意地悪な零は、いつだって…心臓に悪い。

帰り道に考えるのは、その夜に抱かれる私の姿だった。


【fin】
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