第17章 水着【降谷/警察学校時代】
「零が気に入ったの、みつかった?」
「〇〇は?」
「…私は、オフショルダーでフレアの…可愛いなって」
「俺も…でも、俺以外の前では何か羽織ってほしい」
露出が気になる、と言われて…なんだか恥ずかしさを超えて笑ってしまって。
「零、まるでお父さんみたい」
「…伊達と一緒にするな」
「いや、そのお父さんじゃなくて」
レースのカーディガンにサンダルまでそろえて。
「お金、大丈夫?」
「え?あ、うん。予定よりちょっと高いけど………招待券は無料だし、大丈夫」
買ってあげたいけど、と言うからそれは嫌だと断固拒否。
「そういうとこ好きだよ」
「…そういうとこも、だと思います」
「そうだな」
良い買い物ができた、と顔が緩む。
来週の日曜日。
一緒に行こうね、と言って改めて招待券を一枚渡して。
次の週末、二人きりで楽しい時間を…と思ってたのに。
目的地に着いて、水着に着替えて。
零との待ち合わせ場所に向かったら…
「よっ」
「奇遇だな」
「たまたま俺たちも招待券もらって」
「邪魔してごめんね、〇〇」
私と変わらないタイミングで待ち合わせ場所について4人を確認した零から沸々と溢れる怒りオーラ。
「そうなんだ!!奇遇だね!」
それを素直に受け入れた私に深い深いため息をつく零がいて。
「…本当、〇〇って将来詐欺とか簡単に騙されそう」
「実は一番警察に向いてないタイプ」
「実はか?」
「失敬な!」
「〇〇、水着可愛いね」
「っ…へへ、ありがと」
「お前たちがたまたまここに来たのは飲み込むけど、俺たちは別行動するから!絶対ついてくるな!」
「でも〇〇はみんなで遊ぶほうが好きだろ?」
「そうそう、俺たちも思い出作りしたいじゃん」
言いくるめられているような勢いだけど、確かにみんなと遊んだほうが楽しい。
零を見上げると、頭を抱えているし、ヒロくんは優しく私を見てるし。
伊達さんに助けを求めれば首を傾げられて。
「あー…もうっ」
零が私の腕を引いて。
「絶対今日は邪魔すんな!!」
零が逃げるように私の腕を引いて走る。
隠れんぼのような鬼ごっこのような。
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