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【DC】別れても好きな人【番外短編集】

第16章 水着【安室(降谷)夢】


「そうでしたか。急がれなくて大丈夫ですよ、ごゆっくりどうぞ」

ごゆっくりしたくないのだと返したかったけど。
水着を取られて支えるものがなくなり揺れる乳房に零がまた、痕をつけるから…息が荒れてあちこちが物足りないと体の熱が行き場もなく渦巻いてる。

「俺がいないとことでそういう格好されるの、嫌だ」
「…はぁ…もう、バカ……零に本気で言われたら行かないよ…こんなことしなくても」
「格好悪いだろ」
「…こんなところで痕を残すのも、随分余裕ないと思うけど」
「好きな女相手に余裕なんてあるかよ」

…そうですか。
そうですか。

「なにニヤついてるんですか」
「…いいえ、とりあえず服着たいです」
「そうですね…こんな格好覗かれたら大変ですし」

誰がこんな格好にしたのかと言いたくなったけれど飲み込んだ。
試着した水着に罪悪感。
着る場所がこれからあるかはわからないけれど、こんな状況で着ていた物を店に戻すなんてことはもちろんできず。

「僕が買いますよ」
「…それはどうも」

いつもなら理由のないプレゼントに少しは抵抗するけれど、着る機会があるか分からないものを買うことになったのは零のせいだから。
試着室を出る前に少しだけ店員さんがいないか見まわして、いない隙を狙って試着室からでた。
着ていない水着を店頭に戻して会計を終わらせた零が紙袋を持ってやってくる。

「せっかくですし、帰ったらもう一度着てくださいね」
「…はい?」
「せっかくですし」
「いやいや、なにがせっかくなんですかっ」

というか、そういうところ

「…すっごくオジサンくさい」

ぼやいた言葉を聞き逃すような相手じゃない。

「充分楽しませてあげますよ」
「だからそういうとこだよ」

零が隙を見て、触れるだけのキスを突然してきて。

「行くなよ、本当に」
「…行かないよ。梓さんとは、ランチデートお誘いする」
「ありがと」

ぽん、と頭を撫でられて見上げると優しい表情をするから…
敵わないなぁ、と。

「大好きだよ、零」
「…俺もだ」

車に戻ってもう一度キスをして、中途半端に高ぶった熱は…家に帰ってすべて解決する。
嫉妬を向けられることが嬉しくて愛おしくて。
どうしようもないくらい、私は零にべた惚れだなって。
改めて思った日だった。



【終】
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