第1章 花嫁の悩み
綺麗な海。
美味しい海の幸。
シークワーサーにサーターアンダギー。
獅子舞、YOSAKOIソーラン…。
「それは北海道だ、阿呆。」
「何、聞いてたの?」
空港に着いてから沖縄で思い付く言葉を淡々と呟いていたのが聞こえていたらしい。
「…観光は明日になりそうだな。時間も遅いし。」
「そ、そうだね…!」
結婚披露宴が終わってから飛行機に乗ったから着いた時には午後8時。
…って事は。
「初夜…って今日?」
いやぁ、まだ心の準備というものが出来てないよ。
…するとちょっと意外な返答…いや、真面目な彼なら言うと思う答えだった。
「…今日はしない。お互い疲れてるしな。…それに今日は色々あって体は疲れてるだろう。七日間あるから、焦らなくても良い。」
「…うん、そうだね。」
心の準備が出来てないから良かったけど…なんかちょっぴり寂しいな…なんて。
そんな思いを抱きながら奏ちゃんと一緒にホテルへと向かった。