第1章 花嫁の悩み
「じゃあ、行ってきます。」
無事に結婚式と披露宴が終わり、新婚旅行へ。
飛行機の搭乗口前に自分達の親が集まっていた。
旅先は沖縄。暑そう…ってか絶対暑いと思うけど楽しみ。海に入ったり、冷たいもの食べたりしたいなぁ。
「奏くん。気をつけてね。」
自分の両親が奏ちゃんとめっちゃ笑顔で話してる。…信じられない。少し前までは結婚反対してたのに。
…結婚してくれて嬉しかったのかな。嬉しいって思ってくれたならこんなにいい親孝行は無いよね。
「どうせならハワイが良かったなぁ〜。」
「俺と未海の貯金じゃ海外旅行までは予算が無い。我慢しろ。」
「へいへーい。」
冗談を真に受けて答える彼。とてもじゃないけど結婚式の誓いのキスで舌を入れてくる奴だとは思えない。
私は飛行機に乗った後、思い切って聞いてみた。
「…ねぇ。」
「なんだ?」
「どうしてさ…結婚式でのキスの時に舌入れてきたの?」
「…。」
奏ちゃんは黙り込む。
飛行機のゴーッ、という騒音が響いていた。
「…柔らかかったからかもな。」
「…え?」
暫くしてから口を開いて言った第一声はこれ。
「柔らかかった…?」
「お前の唇が柔らかいから舌はどんなもんかと思った。ただ、それだけだ。」
…うっそーん!
唇が柔らかいって言われただけなのになんだか恥ずかしくなってきた。