第1章
俺は梶裕貴。声優をやっている。
今日は久しぶりに丸一日休みを貰えたので、街に遊びに来ている。
一緒に出かける相手はいつも決まっている。いやむしろ、たまの休みを共に過ごすべき相手はその人しかいない。その人以外考えられない!
〇
雲一つない晴れ渡った青空。爽やかな空気。平日の昼間ということもあって、まばらな人通り。
「ぜっっこうのお出かけ日よりだなっ!」
俺は、むんっと背伸びをすると、隣を歩く相棒に笑いかけた。
「そうだね。こんなに天気が良いなら、もっと遠出すればよかったかもね」
そう言って花のような笑顔を返してきたのは、俺の双子の妹・だ。俺たちは世にも珍しい男女の双子で、一卵性の双子とまではいかないにしても、かなり似ている。
分かりやすい表現の仕方が分からないから思ったままを言うが、は俺を女体化させて少しマイルドにしたような容姿をしている。
色白の丸顔で、目はパッチリしている。黒い髪はショートボブに切りそろえていて、俺とあまり変わらない長さだ。身長は低めで、華奢な体型をしているせいか、小動物を思わせるような感じ。
例えるなら…猫。うん、そんな感じ!