第12章 ついてきちゃった
昼はリンクで調整、夜は地元の居酒屋などに繰り出しをしばらく続けたが流石に前日の夜はゆっくり休むために個々で食事をとることにした。
勝生勇利とヴィクトルは一緒に食事に行ったようだが私はというもののホテルでテレビをぼーっと見ながらルームサービスを頂いている
私からのアドバイスは思い出したようだしまぁ今日は無理しない程度に監督との時間が必要だろうと感じ身を引いた
1人になりたがる選手もいるが彼とヴィクトルはそのタイプではないと感じている
夜が明けて会場入りするとすれ違ったひとりの選手が勝生勇利を憧れの眼差しで見つめる
あぁ勝生勇利もまたヴィクトルと同じ星なんだ。
彼は確南くん。勝生勇利が本当の実力を発揮出来なければ優勝も充分ありえる。
特に今日は前回の温泉オンアイスの時より緊張しているのが見て取れる。
ここで躓いたら勝生勇利はきっとここで折れる
そんな気がした
でもそれは絶対許さない。ヴィクトルは迷ってる。ここで勝生勇利が辞めると言い出したらヴィクトルも辞めかねない。彼がヴィクトルをスケートの人生から引き摺り下ろすのだけは許さない。だってそれはヴィクトル自身が決めること。誰かのタイミングで終止符が打たれるようなことがあってはならない。