第10章 温泉オンアイス
そう声をかけてくる
勝生勇利の少し後ろで驚いたあと嬉しそうに少し微笑み勇利を見つめるヴィクトル
憎らしい。ヴィクトルを夢中にさせる彼が。
ヴィクトルはあれから当たり前といえば当たり前だがよそよそしいし食事を一緒にとることもなかった。
歪む顔とギリッと軋む音がしそうな口元
「別に私に認められなくてもヴィクトルはもうあなたのコーチでしょ。私には関係ない」
そう言い逃げるようにその場を去った
ヴィクトルは私のことなんか見てない。
ずっと昔からそうなのよ。
1度抱いてもらったからって見てもらえるなんて思っちゃダメ。
セフレにすらなれない醜い女。
好きなのに。
見て欲しいのに。
でもヴィクトルは私のこと好きなんかじゃないの。
好きなのは勝生勇利
頭の中で自分に言い聞かせるように走っているといつの間にかついたゆーとぴあかつき
間借りしている自室に飛び込むとに持ってきた荷物と置いてあったダンボールを扉にぴったりと付け誰も入れないようにする。
借りている布団に潜り込み声を押し殺し泣く
部屋には私の咽び泣き漏れる私の声と赤い夕日が差し込んでいた
いつの間にかそのまま寝ていた私は時計を確認し深夜になっていることに気づく。