第6章 回答
夜も更けて、キッド目当てのギャラリーも流石にまばらになってきた美術館。
カチリ、と長針が12を刺し、裏庭の時計台の鐘が静まり返った館内に丁度11回、響き渡る。
展示室でそれを聞いている、警察官やスタッフ達の緊張感が、否応なしに高まる。
しかし一分、二分…とうとう何も起こらず十分が経ち、誰ともなくはぁ、と大きなため息をついた。
九時、十時も同じことを繰り返し、とうとう今は十一時過ぎだ。
「青子、お前はもう帰ったらどうだ?明日も学校で早いだろ、な!」
「嫌!ぜーったい、いや!!
青子、今日という今日はキッドを許さないんだからっ」
親子喧嘩を横目に見つつ、今回はどうやら、愉快犯の仕業だったらしい…皆の間にそんな諦めにも似た雰囲気が漂い始め、暫くの後。
ジジ、と、前にキッドが現れた時と同様に、館内のスピーカーがくぐもった音を立てる――