第5章 前哨
そして、指折り数える日はあっという間に過ぎ。気付けばもう予告の日、二十日になっていた。
折しも明日は黒羽くんの誕生日パーティだ、と皆が盛り上がっているのを横目に、期待か不安か…胸を巣食うモヤモヤと、一日中対峙する。
そんな心の内とは裏腹に空は晴れ渡り、梅雨間と言うのに雲ひとつなく。
夜もこのままスッキリ晴れて、明日も晴れ続きでしょうと天気予報では言っていた。
「橙子ちゃん、安心して。
今日は私もお父さんについてくからねっ!」
「おーおー、青子。張り切りすぎて親父さんの邪魔すんなよな」
「もー、そんなことしないよっ!」
そうして漸く迎えた放課後。
いつも通り、2人がわーわーと言い合っているのを横目に、私は淡々と帰り支度を進める。
緊張からだろうか、胸の内のモヤが濃くなった気がして、気を紛らわしたくて口を開く。
「中森さん、私は今日はあの石には近づかないようにって父に言われてるのよ。
だから、現場には行かないの」