第16章 番外編 世界一幸せな・・・
「あ、もうこんな時間。私、帰りますね。」
「まだ夕食まで時間あるけど。」
時計の針は6時を指している。
夕食までまだ1時間ある。
「ちょっと用事があって、すみません。」
困ったような目で申し訳なさそうにそう言われてしまえば、それ以上何も言えない。
わかった、じゃあなと送り出す。
(また用事かよ…全然一緒に居られねーな。今日が何の日か、忘れてんのかな。)
それが少しつまらない。
自分より用事を優先されているようで面白くなかったが、の前では物分かりのいいふりをした。
その後だらだらしていると、きっちり7時10分前に扉が開き、クレイグが姿を見せた。
「魔王様、夕食のお時間です。え、なんですかその顔。あ、様だと思いました?」
ぶっちゃけ思った。
予定を終わらせて来てくれたのかと。
これから夕食だから会えるのだが、やっぱり来て欲しかった。
「今日一日あまり一緒にお過ごしになられなかったですもんね。様、頑張っていらしたし…」
「頑張った?何を。」
「あ、いえ。私からは言えません。」
みんなしてなんなんだ全く。
俺1人のけものにしやがって。
今日は俺の…誕生日なのに。
誕生日を一々きにするだなんて、子供染みているとは思う。
でも魔人ではなく、人間になった今誕生日を迎える回数はぐっと減った。
それをと過ごしたいと思うのは、我儘なんだろうか。