第16章 番外編 世界一幸せな・・・
今日も目がさめる。
隣ですぅすぅと寝息をたてる。
幸せだな、なんて思った。
と別れてからの2年間、朝目覚めるといつも一人。
がいて当たり前になっていた騒がしさはもはや過去のものになり、館には哀愁が漂っていた。
しかし、が戻ってからというもの館は以前のように活気を取り戻してみんな嬉しそうだった。
(すげーな、こいつは。)
みんなに元気を与えられる、が今隣で寝ている。
そんなすげーやつが俺の奥さんで、俺だけを見ていてくれる。
こんな幸せな事あるだろうか。
(幸せ)
優しくの頭を撫でた。
なるべく起こさないように気を使ったのに、その小さな刺激でもは薄く目を開けた。
「ん・・・カイリ、さま・・・?」
「あ、悪い。起こしちまったか。」
「ううん、大丈夫です。おはようございます。」
「ん、おはよ。」
(何こいつ。寝起きから可愛いんですけど。)
そんな気持ちを隠すように話しかけた。
「まだ時間あるけど。」
「もう目が覚めたので起きます。たまには早起きしなくちゃ。」
愛おしい、それ以外になんて表せよう。
王様、つまりの父親の話ではあの2年間、は泣きも笑いもせずに無表情で日々を過ごしていたそうだ。
それを聞いた時、早く幸せにしてやらなくちゃって思った。
早く、笑顔にしてやりたいと。
そして急ピッチで結婚式の段取りを決めて再開からわずか2ヶ月ほどで結婚式を挙げた。
結婚式の瞬間のの嬉しそうな、安心したような笑顔は一生忘れない。