第13章 魔王様・・・!
目がさめると、すごく騒がしかった。
というか、遠くで騒ぎがあるような気がする。
緊迫した雰囲気が伝わってくる。
(ここ、どこ?)
見慣れない天井。
館で起こっているはずの騒ぎは遠くて。
(というか、私、意識失って・・・!!)
きっと魔王様が持ってきてくれたあの飲み物だ。
恐らくあの中に睡眠薬的なものが含まれていたんだ。
ガバッと飛び起きる。
がいつも使っている部屋くらいの大きさの部屋が一つしかない。
少し埃っぽい雰囲気を感じる。
あるのは扉が一つと明かりとり用の鉄格子がはめられた窓、先程までが寝ていたベッド、それに机が一つだけ。
この部屋にこれしかなく、空いた空間の広さがここに一人でいる寂しさを余計に際立たせる。
「窓から覗くしか、ないよね。」
ドアには外から鍵がかかっているようだ。音がしたから、多分南京錠。
はベッドを踏み台に、背伸びして窓の外を覗いてみた。
右斜め前に館。そのもっと奥に門、館の手前に庭。
「ここは・・・幽閉塔だわ!魔王様が先代に閉じ込められたところ!」
位置から察するにここは幽閉塔。
敷地の隅にぽつんと建てられた寂しい場所。
砂埃や荒らされた庭、それに沢山のメイドや従者が走り回っている。
勇者が来たに違いない。
「いかなきゃ。」
ここをでて魔王様を守りに。
先代を失った魔王様と同じ状況にはならない。
私は、絶対、魔王様を失わない。