第7章 魔王の生き方
「魔王様、寂しく、ないですか?」
「え?」
「みんな、にんげんだから。」
そう言うと、魔王様は合点がいったような顔をした。
「まぁ、な。寂しくないってことはねぇ。でも、クレイグとかいるし。それに」
魔王は一瞬いい淀んだあと、視線を逸らした。
「お前も、いるし。」
「私、お役に立ててるんですか?」
「あぁ。心配してくれて、ありがとな。」
そう言って魔王はの頭をわしゃわしゃっと撫でた。
「俺は、詳しくは言えないけど仕事だからお前を攫ったんだ。」
(仕事・・・)
仕事で何をしているかは知らない。
前に聞いたが教えない、知る必要はないと言われてしまった。
「でも、お前といると楽しいし。正直、もっと泣きわめいて俺を恨むもんだと思ってたから。
・・・・お前が“好き”って言ってくれて、嬉しかった。ありがとな。」
「それは、本心ですから。」
なんだかよくわからないが顔が熱い。
動悸もしてるし、風邪かしら。
「様、いらっしゃいますか?」
少し離れた場所で声がした、
部屋への帰りが遅いを心配してアンナが迎えに来ているようだ。
「じゃあな。ありがと。嬉しいのは本当だから。」
そう言って魔王は自室の方へ戻って行った。
その間、は一言も発する事が出来なかった。
「あ、いた!様、こんなところで何やってるんですか。」
「アンナ。」
「さ、湯冷めしないうちに部屋へ帰りましょう。」
こくり、と頷いてはアンナと共に部屋へ戻った。
いつもアンナとは沢山の事を話すが、さっきのことは魔王とふたりきりの秘密にしておきたい気分だった。