第7章 魔王の生き方
「アンナ、どうして魔王様はあんなに怒ったんだと思う?」
部屋でアンナに聞いてみた。
アンナーは小さくため息をついた。
「はぁ。様は本当に、純粋?いや、単純に疎いだけか。」
「どうしたの?」
「いえ、なんでも。」
アンナは娘を見守る母のような表情で、逆に聞いて来た。
「様はどなたかと恋仲になったことがお有りですか?」
「いいえ、ないわ。だってもうすぐどこかの侯爵か誰かと結婚するもの。」
「えっ!あ、姫様ですものね。許婚くらいいらっしゃいますよね。」
アンナは驚いたが、すぐに納得したような、でも少しスッキリしないような様子だった。
「許婚はいないけどね。18になったら結婚するの。お父様が決めたの。私は三女といえど姫だし、仕方ない事よ。
でも、物語に出てくるようなステキな恋をしてみたいな、と思うことはあるけどね。」
「そうなんですか。姫も大変ですね。」
「そうだ!アンナは誰かを好きになった事ある?私は他人を好きになった事がないから、どう言う気持ちが”恋”なのかがわからないのよ。」
「私は、昔、この家に来る前の事になりますが。幼馴染の男の子が好きでした。
今はもう、相手は私のことなんて覚えていないでしょうけど。」
「寂しい?」
「今はもうなんとも思っていません。ただ、その子だけは好きの中でも特別です。」
は少し、アンナの事を知れた気がした。