第4章 ピクニック
午後11:30、中庭。
「様、こんなに早く来ても魔王様とのお約束が12時である事に変わりはありませんよ?」
「わ、わかってるわよ!あ、私も何か手伝うわ。」
テーブルを運ぶメイドの1人には声をかける。
メイドはにこりと笑って言った。
「良いんです。魔王様が始めて約束をしてくださって、嬉しいのはこちらも同じですから。」
「そうですよ!もしかしたら姫さま以上に嬉しいかもしれませんし。是非、私達にやらせてください。」
同じくテーブルを運んでいたメイドも同意した。
「そう、ありがとう。じゃあ言葉に甘えちゃおうかな。」
そう言ってアンナと話しながら魔王を待った。
「魔王様、サンドイッチはお好きかしら。」
「ご自分で聞いてみてはいかがでしょう。」
「そうね、そうするわ。私、魔王様に聞きたいことがたくさんあるのよ。
ここへ来て半月くらい経つのに、私魔王様の本名もお年も職業も好きも嫌いも何一つ知らないんだもの。そういえば朝食の席の魔王様はいつもと様子が違ったけれど、あれは普通なの?」
「はい。前に様にだけ態度が違うとお話ししましたが、冷徹な魔王様を演じていらっしゃったみたいですね。」
「どうしてそんな事したのかしら?」
そんな事を言い合っていると、魔王が来た。