第4章 受けろ! 雄英
入試当日______
「ごめんね勝手に! でも、転んじゃったら縁起悪いもんね」
「!」
受験会場である雄英に着いた舞依は、もさもさ頭の男子と茶髪のボブの女子のやり取りを横目で見ながら、指定された場所へ急ぐ。
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プレゼント・マイクから、雄英の校訓である「Plus ultra!!」と言う言葉をプレゼントされた後、一斉に演習会場へ向かう。
持ち込みは自由という事で、舞依は家から羽毛扇を持参した。扇子があれば、個性をより上手く扱える。
(さっきの人達……)
会場を見渡せば、先程のもさもさ頭の男子と茶髪の女子が居た。 男子の方は茶髪の女子へ声をかけようとしているところだった。そこを真面目そうなメガネの男子が止めに入り、少しばかり厳しい言葉をかけた。 周りの人間はいかにも「ライバルが減った! ラッキー!」といった顔で、もさもさ頭の男子を見ていた。
「ハイ スタート!」
突如、プレゼント・マイクがそう言ったのを聞いて、殆どの者が首をかしげた。
「え……?」
「どうしたぁ!? 実践じゃカウントなんざねぇんだよ! 走れ走れ! 賽は投げられてんぞ!?」
「……!」
まずい、と舞依は周りと共に駆け出し、敵を探す。
(見つけた……!)
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黒い風の衝撃を受けた敵は粉々になって宙を舞い、そのまま音を立てて地面に落ちた。
(今合計で何ポイントだっけ……)
12体目の敵を倒した時、あろうことか舞依は現在何ポイントであるかを忘れていた。
(まあ、1体1ポイントってわけじゃないし……もう少し倒せばそれなりの点数になるかも)
そう思い、舞依は駆け出した。その瞬間______
「……!? 何!?」
大きな地鳴りがして、舞依は地面に倒れた。 そして視界に映ったのは、“ 個性”を使用したMt.レディより小さい______けれど普通の人間から見れば大きすぎる仮想敵だった。 離れた場所にいる舞依にも、はっきりとその姿が分かった。
(あれが0ポイント敵……!)
舞依は走って左に曲がった。後ろは行き止まりになっていて、前に進めば0ポイント敵とぶつかる事になるからだ。
(倒しても、メリットは無い)