『探偵』前世の記憶を思い出した時、彼は私の恋人でした。
第4章 記憶を思い出したら『降谷零』の恋人でした。
優秀な人材を捨て過ぎるんだよ、組織は。なので私はアイリッシュとキュラソーを助けた。観覧車での殴り合いはなかったけれど、スコッチを連れて行った私に目を見開いて…まるで幽霊を見るような目で二人は見ていたのが余りに可笑しくて笑った。スコッチも無事に送り届けたし、後は身を任せることとする。
「都っ!待って下さいっ!一体どういうつもりなんですか!?」
「あらバーボン…なんのことかしら?」
「ひろー…いや、スコッチはなぜ生きているんです!それにアイリッシュやキュラソーまで!?貴方は一体…どうしたいんですか?」
「…言わなかった?名を知らないあの人の為に動いているだけのこと」
「あの人…組織の人間ですか」
「…どちらでもあるかしら。裏でもあり表でもある」
私が愛する降谷零…トリプルフェイスを持つ男。そうバーボンを見て私は笑った。
ーーー。
「貴女は…どちらなんですか。組織の人間なんですか。それとも…」
「私は正義の味方になりたかった…でも諦めないとね?だから私を殺してくれない?」
貴方の手で、そう私は傷付いた顔をするバーボンに拳銃を手渡した。
組織殲滅の前日だ…私は彼に呼び出された。どうか私の口から言って欲しかったのだろう。組織を裏切ると…でもそれは出来ない。私は闇に染まり過ぎた、今更彼の隣で生きるなんて…出来るわけがない。
「っ!生きて下さい!僕は…貴女のことを」
「…バーボン。そういうのは愛する人に伝えて頂戴?」
「……愛してしまったんです」
「えっ…」
「貴女に会った時から…」
「ば、バーボン…なにを」
「っ!俺も逆行しているんだよ、お前と同じくっ!思い出したのは数ヶ月前…スコッチが東都水族館に君と一緒に現れた時のことだ。驚いたさ、なんせ俺が助けたいと願った人が、皆生きてるんだからな!全部都の仕業だって気付いた…もしかすると、ずっと名前の知らないあの人って俺のことなんじゃないかって…思わずにはいられなかった」
「バーボン…」
「降谷零と、呼んで欲しい…本当はなにもかも知っていたんだろう?敢えて俺を傷付けて赤井を恨ませないように、悪役を買って出たんだろう」
殺せるわけがない。そう…彼は私がいつどこで死ぬことも覚えているようで、あの時から酷く後悔して「過去に戻れたら」そう願っていたようだった。
「生きてくれっ!俺のために!どうかっ!」