第8章 躑躅に呼ぶ *名探偵コナン*
「安室さんが公安だってことは最近知ったし、俺以外は誰も知らない。それと、安室さんが零でさんが一香。ナンバリングをそのままコードネームにしててもおかしくない」
「……」
「国家公務員の中で、自衛隊員に次いで自殺者が多いのが公安だって聞いたことがある。その理由は、諜報任務のストレスなんじゃない?だから、そのストレスを解消させる部署が必要だ。筒地さんはたぶん、その部署の人」
「……なぜ?」
「さっきの会話さ」
『これじゃあ、どっちがどっちか分からないわね』
「あれは…ッ」
「安室さんのストレスを解消させるために来たのに、カモミールティで自分が癒されてしまって、どっちがどっちか分からないって意味でしょ?」
「ホントに、抜け目がないな、コナン君は」
「探偵だからね」
「探偵……?」
こんな小学生が…?
「コナン君は面白いこと言うのね。仮にそれが真実だとして、君はどうするつもりなのかな?」
「どうもしないよ」
「誰かに話す?」
「んーん。それもしない」
「そ。ありがと。安室くん、ごちそうさま」
コナン君のオレンジジュース代も併せて、カウンターに置き、席を立った。
「また近々、ここへ来てもいいかしら?」
「もちろん。お待ちしてますよ」
「ありがとう。じゃあね、コナン君」
「バイバーイ」
カランコロン
江戸川コナン――
小さな小さな探偵さん
「敵にしたくないタイプね」
私はそのまま、違うクライアントの元へ向かった。