第8章 躑躅に呼ぶ *名探偵コナン*
「お姉さん、安室さんの恋人?」
「え?」
「ははは。違うよ、コナン君。彼女は僕の古い友人で、筒地さんっていうんだ」
「………」
安室さんが私を筒地と呼ぶときは、つまりそういうこと。
「筒地一香(つつじいちか)です。安室くんとは昔から仲良くさせてもらってるの。君は、コナン君…だっけ?」
「うん、江戸川コナンだよ!」
「珍しい名前ね。ご両親のどちらかが外国の方なの?」
「ううん。二人とも推理小説が好きだから、推理作家のコナン・ドイルから付けたんだって」
小説家の名前から、ね。
今日日(きょうび)珍しくない、キラキラネームってやつかしら。
「お姉さんの名前は」
――偽名だよね?――
「…っ」
「おいおい、コナン君」
「……どうしてそう思ったの?」
「だってさっき、僕がお店へ入る前に安室さんが言ってた名前と違ったよ。さっきはさんって呼んでた。そしてたぶん、筒地さんも安室さんと同じ公安の人」
…………この子………