第8章 躑躅に呼ぶ *名探偵コナン*
「ご注文は?」
「オレンジジュースー!」
「ははは。相変わらず元気が良いね」
安室さんはカウンターへ入り、コナン君というこの子は、小学生らしく溌剌(はつらつ)とした笑顔と所作で、私の2つ隣の席に行儀よく座った。
フワリと香って来たのは、透き通るような澄んだ香りだった。
「これ、ハーブティ?」
「カモミールティです。お疲れみたいなので」
「さすが安室さん。これじゃあ、どっちがどっちか分からないわね」
「あはは、そうですね。はい、コナン君」
「わぁーい、ありがとう安室さん!」
ストローに口をつけて飲み始めたコナン君を、微笑ましく思いながら何となく見つめていると、視線に気づいたのか、パッと顔を上げて私を見た。