第8章 躑躅に呼ぶ *名探偵コナン*
カランコロン...
「やぁ。いらっしゃい」
「お久しぶり。安室さん」
「ご注文は?」
「おすすめで」
喫茶店ポアロ。
眠りの小五郎で有名な明智小五郎探偵事務所の階下に構える、こじんまりとした良いお店。
脱いだスプリングコートを隣の椅子へ掛けながら、カウンターに居場所を決める。
小気味良い、コーヒーポットの音。
立ち上る湯気は、安らぐコーヒーの香りを私のところまで運んでくれる。
「お仕事はどう?順調?」
「そうですね。過不足なく、恙無(つつがな)くってところです」
「ふふ、安室さんらしいわね」
「さんも、お忙しそうですね」
「まぁね。あっちこっち、もう大変」
背もたれに思いきり寄り掛かると、安室さんが笑いながらカップを出してくれた。
「ありがとう、安室さん」
カランコロン
「やぁ、コナン君。いらっしゃい」
「こんにちは、安室さん」