第1章 始まりは突然に
「あ、話戻すんですけど、何で応募の人は全員断っちゃったんですか?」
自分の手の中にあるお揃いのカードを手放しながらまた質問する。
「やっぱ応募だと、みんな素の鷹広のこと知らないし、それじゃやっていけないから」
そう言うと、伊織さんは少し困ったような顔をする。
なるほど。
私はたまたま見たから大丈夫だけど、周りの子が見たら異様な光景なんだろうな。
「それに、タカってクラスとか学校では優等生だから。 応募してくる子って大体がそのタカに憧れて、とかが多かったからなー」
それもそうか。 それだけ猫かぶってたら暴くのも難しいよね。
「はぁー、ほんとやんなっちゃうよね。 こんなイケメンがいるのに」と、哀愁めいてため息をつく春樹さん。
イケメンって自分で言うかな、普通。 まぁ言うだけはあるけど、と私は苦笑する。