第1章 始まりは突然に
風が冷たくなってきた今日この頃。
教室ではシャーペンと時計の秒針、紙をめくる音だけが響く。
その静寂の中、私 姫野 咲 は緊張で胃がキリキリしていた。
「…はい、やめ!!後ろから集めてこいー……」
(あぁ、終わった)
一応紙一面が文字で埋まっている解答用紙を回収者に渡す。
「中間テストやっと終わったー!!」
私は授業終了のチャイムと同時に机に突っ伏す。
「はは、咲お疲れ様」
疲れてくたくたの私に声を掛けてきたのは 萩野 瑞希 (はぎの みずき)である。
瑞希は高校で知り合った友人で、頭も良くて美人。
それでいて、さばさばした性格なので誰とでも仲がいい。