第10章 超えるべき壁たち
「…………す…すみません!! あの……私…」
半壊した屋敷を目にした瞬間…私は終わったと思った。せっかく煉獄さんが技を逸らしてくれたのに、私がそれを押し返してしまったのだ。私が一生働いて返せる額だろうか……
「稽古はこれにて終い。君は次の任務に行ってよし!!」
くるっと私に背を向け、そう言い放つ煉獄さん。私はつい彼の袖を引っ張った。稽古はお終い!? どういうことなのだろうか…
「よくやったな」
そんな私の頭を煉獄さんは笑いながら、ポンと軽く叩いた。私は何が何だか分からず、呆けた顔をしてしまう。
「君を俺の正式の継子として認めよう。竈門幸子。何かあれば頼るといい」
正式の継子?? つまり今まで言っていたのは、正式でなく煉獄さんが好きに言っていただけということか?煉獄さんは私の呆けた顔にデコピンをひとつした。
「君の信念は伝わった。よくそこまで頑張ったものだ。偉いぞ」
フッと笑いながら私の頭を最後にポンっと置くと、煉獄さんの姿は一瞬で消えてしまった。……そうだ。そう言えば…
「あの人もお兄ちゃんなんだっけ…」
ふと私を褒めるその姿が兄と被り、私は頭を抑えながらぼんやりと消えた背中を眺めていた。
「…………あっ!? 弁償のこと聞くの忘れてた!!!!! 煉獄さん!! 煉獄さぁぁぁぁんん!?」