第5章 炭治郎日記 前編
「あ、目が腫れてるね」
昨日と変わらず佇む彼女に私は微笑む。綺麗な瞳を細め、真菰は軽い足取りでこちらへやって来た。
「炭治郎と仲直りできたんだ」
真菰はそう言うと、私の横にちょこんと腰掛けた。まるで見ていたかのように言う真菰。私の驚く顔を見て、真菰はふふっと笑った。
「分かるよ。だって、昨日より爽やかな顔をしてる」
爽やかな顔…?それは一体どういう顔なのだろう。真菰の言葉はどこかふわふわしてるなぁ。私が自分の顔をぺたぺたと触っていると、真菰はお腹をかかえて笑いだした。
「えっ!? からかったの!?」
「そうじゃないよ…だけど…幸子おかしくって…」
けらけらと笑う真菰。そんな彼女を見て、私もつられて笑みが浮かぶ。
「よかったね!! 仲直りができて!」
笑いすぎて出た涙を拭う真菰。頭につけたお面がカランっと音を立てる。私は頷いた。
「うん!! ありがとう、真菰!!」
そして、私は真菰と錆兎のおかげでただひたすらに稽古に打ち込むことができたのだった。