• テキストサイズ

鬼滅隊の兄と、鬼の姉

第12章 緊急の呼び出し


3人の骨折が癒えた頃、緊急の指令が来た。4人共々那田蜘蛛山へ一刻も早く向かうこと。私達は家主のお婆さんにお礼を言うと、お婆さんは私達の無事を祈るために切り火をしてくれた。

「何すんだババア……ぐおっ!?」
「危険な任務に行くから、火の粉でお清めをしてくれてるの。さっ、行こう」

先に不可解そうにしている伊之助の腰布を持ち、ズルズルと引きずるっていると、私たちが小走りで仕事地へと向かうその背を見送るように声が聞こえた。

「どのような時でも誇り高く生きてくださいませ。ご武運を」

私たちの後ろで、お婆さんの言葉に首を傾げながら伊之助がそう問いかけた。

「…誇り高く? ご武運? どういう意味だ?」

兄が伊之助の問いに答えると、そこから伊之助からの質問攻めが始まった。

「 何でババアが俺たちの無事を祈るんだよ。ババアは立場を理解してねぇだろ」
「あ! 加速した!!」

答えられなくなった兄が足を早めて私たちの先を行く。普段なら対抗意識を燃やす伊之助だが、余程気になるのだろう。説明しろとばかりに、私の方をじっと見る。

「考え方は人それぞれだよ。私はね、関係ない人っていないと思うんだ。人ってどこかで繋がっているんだよ。これは私のお母さんの受け売りなんだけど、人への親切って回り回って自分に返ってくるんだって。だから、あのお婆さんに頂いた親切を返すために、人を助けるっていうこの仕事の意味を忘れちゃいけないんだよ…ってことかな…」

「…………ふぅん…」
「ごめん。私も上手く伝えられないや」

伊之助の問いには十人十色の答えがある。だから、答えなんてないし、私は私の考えを伝えたかったのだが…やはり難しいな。

「……よーするに!!!! 鬼をぶっ殺しまくればいいってことだろ!! 楽勝じゃねぇか!!!!!!」

伊之助が自分なりにそう解釈したのならそうなのだろう。私は彼の背を軽く叩いた。

「一緒に頑張ろう!! 伊之助!!」
「お…おうよ!!!! 俺様が1番鬼を多くぶっ殺すんだけどな!! ギャハハハ!!!!!!」

そして、スッキリしたのか、その後前を行く兄を伊之助が追いかける。そして、伊之助と話している間、ずっと彼のじっとりとする視線を感じていたため、振り返った。

「善逸さん!! 私達も早く追いかけましょう!!」
「うえっ!? い、いいいいま…!?!?」
/ 172ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp