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たとえば君が鳥ならば【ニルアド】

第6章 新しい住人-ショウトツ-



「でも俺の目に狂いはなかった。偉い、流石は俺」



「……?」



「まぁ他人をどうこう言える程、俺も立派じゃないけどな。…とにかく、一緒に頑張っていこうぜ」



隼人が手を差し出した。私はその手を握ることに躊躇い、困った顔を浮かべる。



「(どうしよう…。隼人が手を差し出してくれてるのに…一緒に頑張ろうって言ってくれたのに…触れるのが、怖い。)」



何もされていないのに緊張感が襲った。そんな私を見た隼人がある疑問を投げ掛ける。



「…もしかして、触れるの苦手?」



「えっ……」



「いや…実はさ、昨日お前と別れた後、紫鶴さんに言われたんだよ。立花は誰かに触れられることが怖いのかも知れないって」



「(紫鶴さん…やっぱり気付いてたんだ。私が幽霊であそこまで過剰に驚いたんじゃないって。)」



「俺の手を取らないのも納得がいった。立花お前さ……───男に触られるのが苦手なんじゃないのか?」



「!」



「"誰か"じゃないんだよな。だって女の久世には普通に触れてるだろ。だから男が苦手なんじゃないかって。…違う?」



「…ううん、違くない。隼人の言う通りだよ。私、男の人が怖くて、触ることも触られることも苦手なの…」



「そっか…」



「ごめんなさい…」



「何で立花が謝るんだよ。別にお前は何も悪くないだろ。ちなみに男が怖い理由って…もしかして学生の頃に嫌な経験をしたからか?」



「…うん。それ以来どうしても男の人が駄目なの。近付かれたり喋る分には平気なんだけど…触られることに体が拒否しちゃって…」



「まさか今までずっと我慢して堪えてたのか?」



静かに頷けば、隼人は溜息を吐く。



「我慢して堪える方がもっと辛いだろ。俺に言ってくれれば良かったのに」



「男の人が苦手なんて言ったら隼人だって困るでしょ?それで遠慮して距離を置かれたり、変に気を遣われたりしたら…申し訳ないもの…」



「全然困らないよ。むしろお前の為に何か出来ることはないかって考える」



「!」



「それに立花が男恐怖症だって知ったからって、距離を置いたり、変に気を遣ったりもしない。だから心配するだけ無駄ってことだ」



そんな爽やかに返されるとは思ってもみなくて、私はどう反応していいのか分からなくなった。



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