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たとえば君が鳥ならば【ニルアド】

第4章 襲われた少年-キオクノハコ-



あれから書店を回ってみるものの、昨日と同じで稀モノが見つかる気配はなかった。



「稀モノどころか、今日は一冊も和綴じ本に巡り会えずに終わりそうだな」



「そんな日もありますよ」



表情を変えない鴻上さんに続いて
星川さんが気を遣って答える。



朝から杙梛さんや笹乞さんの店に赴き、その後も何軒か巡っている。けれど、入荷しているのは印刷の本ばかりなのだ。



「(ツグミちゃん…落ち込んでる…)」



「新入り、また落ち込んでるだろ」



「!?お、落ち込んではいないわ」



「じゃあどうしてぼけっと考え込んでたんだよ」



「それは…」



彼らの視線がツグミちゃんに集まる。



「…本当に落ち込んでいたわけじゃないのよ?ただもしこのまま和綴じ本が廃れてしまったら…私は何の役目も果たせないことになるなって…」



「アホか」



「!!」



「たかだか数日で、役目も果たせないかもとか考えるな、面倒臭い」



「…は、はい」



「まぁ、入ったばかりで焦る気持ちは分かるけどな。仕方ねぇよ、見つかる時は見つかるし、見つからない時は見つからない、そういうもんだ。もうちょっと気楽に考えろ」



尾崎さんのその言葉にツグミちゃんの表情が柔らかくなった。



「そうよね…有難う」



「尾崎さんって、言葉が厳しい時がありますけど、心配して言ってくれているところが優しいですよね」



「………!」



「?隼人?」



「い、いや何でもない。とにかく久世、思い詰めるなよ」



「はい!」



「(尾崎さんの頬が赤いような…?私何かおかしいこと言ったかな?)」



───そんなふうにして二日目は過ぎていった。



「さーて、そろそろ今日の仕事も終わりにするか」



「(今日も歩き回って足が…)」



「あ、僕ちょっと靴屋さんに寄るんで、先に戻っていて下さい」



「おう」



そして私も尾崎さん、鴻上さんとツグミちゃんでバスの停留所に向かって歩いていた時だった。



「おい!?何だお前達は!?」



路地裏から、誰かの叫び声が聞こえた。



「聞いたか!?」



「今の叫び声…!」



「この奥だ!行こう!」



「うぁぁぁ!?……っ……く……───」



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