第41章 天地神明にかけて・再-プロポーズ-
見れば周囲のお客さんはみんな楽しそうに私達を見守っている。店に入った瞬間、笑われていると思ったのはあながち間違いでもなかったらしい。
「…お、お返事は…」
「出来れば良いお返事をいただければ嬉しいな、と。そうしないと、この後に予定しているお祝いパーティーが失恋した俺を慰める会に変更になってしまいます」
「そんな!」
これが運命の悪戯だとしたら、あの日の私に言ってやりたい。
彼との約束を守るために幸せを犠牲にして、鳥籠の中で独り寂しく空を見上げていた私に。
「これでもう何一つ隠してることはないよ。俺の手札は全部見せた」
「…あ、あの」
「ポテトサラダが食べたいな」
店の中はしんと静まり返り
無数の視線が私に突き刺さる。
「…わ…私でよければ…よろしく…お願いいたします…」
「…やった!!」
「…きゃ!?」
勢いよく抱き上げられたのと同時に、店の中から次々に祝福の言葉が投げられる。
「野望達成!俺はたった今、世界で一番幸せな男になった!」
「隼人、あの下ろし……っ」
「何で?別に重くもないし、柔らかくていい抱き心地だよ?むしろ軽過ぎるくらい。あとそのドレスも最高に似合ってる」
「…あ、ぅ…」
「照れた顔も可愛い。すっごく可愛い。」
「…似合ってる?本当に?」
「本当に!こういう格好初めて見たけどまた惚れ直したよ!」
「あ、有難う…」
どうやら、意地悪ではなかったらしい。
「…隼人のそういう格好も初めてだね」
「惚れ直した?」
気恥ずかしさから少し迷った後、私は小さく頷いた。
「とても…カッコいいです」
「もっと言って」
「似合ってます」
「サンキュ!あ、それとお前、着痩せするからもっと自信持っ……あ、いや何でもない。そこだけは自信持たなくていいや!他の男に見せられても困るし!」
「……………」
「まぁこの話はまた後でな」
「待って、それって…」
「……────好きだよ」
「………っ!?」
逃げられるはずもない姿勢で彼の唇が重なってきて、私は思わず瞼をきつく閉じた。
.